お菓子を作る上で、ジェノワーズ(スポンジ)を作るのと同じくらい(いや、それ以上?)よくする作業。
それが、生クリームの泡立て!
デコレーションケーキはもちろん、お菓子に添えたりムースを仕込んだり。
お菓子を学んでいくと生クリームを扱う機会はたくさんあります。
みなさん、ケーキに塗っている間にボソボソ、モロモロになったり、ゆるくて絞れなかったり…意外と失敗した事、多いのではないでしょうか?
「失敗しない!」って書きましたけど、いや、私もいまだにたまには失敗しますけどね。
人に教える前に、いい加減慣れろって話ですけどね。
すみません。経験年数だけは多いんで、ちょっとお話しさせてください。笑
うんちくはいらん!早く泡立て方を!という方は、まずは動画をどうぞ!笑
基本のホイップ、クレームシャンティ
生クリームに少量の砂糖を入れてホイップしたクリームを、クレームシャンティと言います。
合わせるお菓子に応じて、クリームの量の6%~10%くらいのグラニュー糖を加えます。
私の場合、普通のイチゴショートで7%くらいが多いかな?
酸味のある果物と合わせるときは増やしたり、甘いガトーショコラに添えるときは減らしたりと、その時々で加減します。
35%? 45%? どのクリームを選べばいいの?
表示されているパーセンテージは、乳脂肪分の割合です。35%や36%のものはあっさりとした味わい。45%や47%はこってり濃厚なケーキになります。
乳脂肪の多い方が保形性は良いですが、その分すぐに泡立ってしまい、作業中にボソボソになる確率が高いので、扱いが意外と難しいクリームです。私もたまにボソボソにします。笑
35%程度のものは、フルーツの味を生かすムースや、クリームをたっぷり食べるロールケーキなどに向いているかと思います。
デコレーションに使用する場合、私は35%と47%を半々で合わせて使っています。(よく使うのはタカナシ乳業)
植物性のクリームは、生クリームとは表記されていません。口当たりも風味も好きではないので私は使いません。(個人の好みです)
どうやって固くなるのか
生クリームの「泡立て」というのは、実際には空気がどんどん含まれて「泡立つ」いうよりは、脂肪分がぶつかり合って合わさっていく事により「固くなる」という状態です。
なので、メレンゲや全卵を泡立てるときと、少しイメージが違います。
生クリームを立てる時は、そのあたりをイメージしながらやるといいかもしれません。
ではでは!上手な泡立て方を見ていきましょう~♪
生クリームの上手な立て方
ポイントは5つ!
- 道具とクリームは必ず冷やす
- 必ず氷水に当てる
- アルミのボウルは使わない
- 手動のほうが早い
- 6分立てで一旦止める
ではひとつずつ見ていきましょう。
道具とクリームは必ず冷やす
生クリームを上手く立てるには、まず、クリームの温度を上げない事です。
クリームが常温に近いと、ボワボワとしてダレやすい、水っぽいクリームに仕上がってしまいます。
キュッとしまったつややかなクリームを目指すには、ボウル、ホイッパー、クリームを必ずキンキンに冷やしておきましょう。
買ってきたばかりで常温に長くおいたクリームは、必ず数時間冷蔵庫で冷やしてから作業します。状態が変わってしまうので冷凍はダメです。
アルミのボウルは使わない
泡立ては、質の良いステンレス(18-8)か、ガラスのボウルを使うようにしましょう。ホーローもいいですね。
アルミのボウルや、質の良くないステンレスボウルを使うと、金気(かなけ)が出る、といって、クリームに黒いスジ状の物質が入り込んだり、風味が落ちたりします。
必ず氷水に当てる
氷水をはった別のボウルを用意し、その上にクリームと砂糖を入れたボウルをのせて立てていきます。
氷水は水があまり多すぎると、チャプチャプしてクリームに水が入り込んだりしますので、氷多目で、なおかつ、クリーム全体が氷水に当たっている状態にしましょう。
手動のほうが早い
クリームに関しては、電動ミキサーよりも、ホイッパーを使って、手で泡立てる事をお勧めします。
電動ミキサーは、なかなかクリームに均等に当たらず、意外と時間がかかってしまったり、脂肪分の多いクリームは立てすぎの原因にもなります。
ホイッパーは、ワイヤーの数が多く、泡立て部分も大きめのものを使うのがオススメです。
ホイッパーはこれを使っています
100均のものなどは小さくて泡立てに向かないので、ぜひワイヤーの多い、製菓用ホイッパーを揃える事をお勧めします。
脂肪球をくっつけていくイメージで、ボウルの向こう側と手前側にホイッパーをカンカンと叩きつけるように、直線運動で泡立てていきます。
(実際にあまりカンカン当てると金気が出たりしますので、ほどほどに…笑)
時々、ぐるっとホイッパーを動かして、クリームを均一にします。
6分立てで必ず止める
6分立てというと、ホイッパーでクリームを持ち上げた時、割と早めに落ちていき、わずかに跡が残るくらいです。わりとゆるゆるです。
でも油断してはいけません!クリームが6分立てまでくると、そこからは早いです!
ナッペや絞りの作業でもどんどん締まっていくので、6分立てからは、使いたい固さの2、3歩手前の状態まで、ゆっくり固さを見ながら近づけていきましょう。
じゃあ、使用用途に応じた固さって?
生クリームは、使用用途によって目指す固さが全く違います。
私がお菓子作りをする際の簡単な目安をご紹介します。
ムース
私、ムースが大好きなのでとってもよく作ります。
フルーツピューレなど、わりとさらりとしたものと合わせるときは、7分立てくらいがちょうど良いです。
ホイッパーでやっと持ち上がり、とろり~と垂れていくくらいですね。
あまり固く立ててしまうと、容器に流した時に形が残ってしまったり、空気が入り込んで仕上がりがボコボコになってしまったりしますので、少し緩めくらいがいいです。
チョコレートやチーズなどと合わせる時は、6分立てのままで大丈夫。
チョコやチーズは、それ自体が冷えると固まる性質があるので、あれよあれよと言う間に固まっちゃったりしますので、ゆるめで手早く!
ナッペ(デコレーション)
きっとこれが一番難しいですね。
ヘラで触っている間にもどんどん固くなりますし、ちょっともう一回やり直しぃぃ!なんてしていると、もう取り返しがつかなくなって泣くことになります。笑
ナッペは6分立てのクリームの入ったボウルの端っこのほうだけを7分立てくらいに泡立てながら使うか、別の小さいボウルで少しずつ立てながら使いましょう。
ホイッパーに取ったとき、ホイッパーをくるくる回しておけばクリームが落ちてこない、けどゆるめ、くらいの固さです。
「ぎゃー!固すぎる!」となっても慌てずに!柔らか6分立てクリームがたくさん残っていますので、少しずつ合わせて使えば大丈夫です。
絞り
これも、だいたいナッペの最後に残ったクリームでやるので失敗しがちですよね。
絞り出し完成形の固さまで立ててしまってはいけません。
ホイッパーでしっかり持ち上がり、ピンとツノも立つけど、まだ余力ある状態というか…笑
わかっていただけますでしょうか。。
絞るときに、口金部分でもさらに固くなりますし、手の温度でもどんどん状態が変わっていきます。
手早くを心がけてくださいね!
生クリームを上手に扱うコツ、少し伝わりましたでしょうか?
数をこなして慣れていく事が一番ですので、ぜひ、自分自身のベストな状態を見極められるよう、たくさんたくさんチャレンジしてみてくださいね!
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
絞りやナッペについて詳しくは、また今度♪